今すぐ
ご相談
お問い合わせ
2024.11.28

マンションの外壁タイル剥落を防止するメンテナンスと修繕方法とは?

外壁補修の様子

マンション外壁タイルのメンテナンスは美観だけでなく安全確保のためにも重要

注文住宅だけでなく、外壁にタイルを使っているデザイン性の高いマンションも増えています。しかし、美観目的だけでなく外壁には建物を守る役割も担っていることを忘れてはなりません。

新築時には問題がなくても、10年を待たずして外壁の剥落が起きてしまうこともあります。

マンションの外壁タイルが剥落する原因はひとつではありません。

そこで本記事では、外壁タイルの剥落が起こる原因や剥落を未然に防止するメンテナンス、外壁タイルの修繕方法などについて解説していきます。

外壁タイルの剥落はなぜ起こる?考えうる3つの原因

●外壁タイルが受ける風雨や紫外線などのストレスによる劣化

紫外線による劣化
長時間紫外線にさらされることで、タイル自体の劣化も進みますし、接着剤の接着力が弱まってタイルが剥落してしまう原因にもなります。日当たりのいいマンションの外壁などは劣化が早く進むことを認識する必要があります。

急激な温度変化
一日の寒暖差や季節の急激な温度変化にさらされることにより、タイル自体やタイルを接着している接着剤が収縮と膨張を繰り返し、接着力が弱まります。
特に最近では、以前に比べ急激な温度変化や台風並みのゲリラ豪雨、雹(ひょう)などの厳しいストレスを受けやすくなっています。また海沿いの地域では海風の影響による塩害を被り、外壁タイルの剥落や損傷をまねいてしまうこともあります。
寒冷地の場合は特に冬季の水分凍結でタイルが膨張し、タイルの接着力が低下する「凍結融解現象」が起こるのでよりタイルの剥落に注意が必要です。

●経年劣化が進み外壁タイルの接着力が低下

外壁はモルタルでタイルを貼る「湿式工法」と、接着剤でタイルを貼る「乾式工法」という2つの施工方法があります。むかしはモルタルでタイルを貼ることが多かったのですが、近年接着剤の性能が格段に上がったため、マンションでも乾式工法が増えてきています。

ただ、長い年月を経るとタイルの接着力が低下してしまい、タイルが浮いてしまったり剥がれてしまったりすることがあります。1回目の大規模修繕工事をおこなう平均が竣工後12~15年とされています。しかし、外壁タイルはそれよりも前に定期的な点検とメンテナンスが必要です。

接着剤やモルタルの劣化
タイルを接着するために使用されるモルタルや接着剤は、時間の経過とともに劣化し、タイルの接着力が低下します。これにより、タイルが浮いてしまい、最終的には剥落することがあります。

タイルの浮きや亀裂
外壁タイルの浮きや亀裂は、よほどひどいものでない限り、初期段階では目視で確認できないことが多いものです。しかしこの亀裂や浮きを放置してしまうと、外壁タイルの剥落事故につながる可能性があります。

●外壁タイルの施工不良

経年劣化や外部環境の影響でタイルや接着剤などの劣化といった原因以外に、もっとも気をつけなければいけないのが、マンション建設時の施工不良による外壁タイルの剥落です。モルタルを塗布する際に不均一であったり、外壁タイルの裏側にすき間ができてしまったりすると、タイルが浮きやすくなってしまいます。その結果外壁の耐用年数よりも短い時間で外壁タイルが剥がれてしまう可能性があるのです。

外壁タイルの剥落を防止するメンテナンス方法

●外壁タイルの定期的な検査

マンション外壁については、建築基準法で「竣工後10年が経過したマンションの外壁の全面打診検査をしなければならない」と検査の義務化が定められています。外壁タイルが浮いていないか、亀裂が入っていないかなどを確認します。

タイルの浮きや亀裂などは目視で発見できないことが多いため、専門の業者に依頼して調査する必要があります。

打診調査

マンションの外壁打診調査は、専門家である検査員がハンマーなどの道具を使ってタイルを叩き、タイルが浮いているか、浮いていないかを確認する方法です。タイルが浮いている場合は空洞音がするため、早期に修理が必要な箇所を発見することができます。

マンション外壁の打診検査をする場合、マンションに足場を組んで調査をおこなう必要があるため、大規模修繕のようにかなり大掛かりな作業になってきます。

国土交通省の公式サイトにも、以下のような規定が明記されています。

※以下引用

おおむね6ヶ月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等に加え、おおむね10 年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行うこと

引用元:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000161.html

赤外線調査

赤外線調査は、赤外線装置を搭載した無人航空機(ドローン)を使って調査するもの。タイル裏側の温度差を測定し、タイルの浮きや亀裂がないかを確認する調査方法です。

令和4年に「無人航空機を用いた赤外線調査による方法の明確化」が施行され、ドローンによる調査の利活用を国も促進しています。ただし、ドローンを使った外壁調査には実施要領に則ったものである必要があるため、外壁調査ガイドライン等を確認してください。

※参照元:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000161.html

●防水機能のメンテナンス

外壁には建物全体を雨水から守る役割があり、経年劣化によってこの防水機能が低下もしくは損なわれてしまうケースがあります。

防水機能が低下したまま放置すると、雨水が外壁内部に浸入してしまい、タイルを接着しているモルタルが劣化してしまいます。したがって定期的に防水メンテナンスをおこなう必要があります。

シーリングの打ち替え(シールの補修)

外壁タイルの目地には、雨水が入り込んでこないようにシーリング材(コーキング材)で防水機能を補強しています。窓枠の周辺や外廊下なども同様です。ところがこのシーリングも年々劣化してしまい、ひび割れや肉やせ、剥離といった状態が見られるようになります。

これを防ぐためには、シーリングの打ち替え(打ち直し)といわれるシールの補修をする必要があります。シーリング材によって耐用年数が若干異なりますが、目安として10年程度でシーリングの打ち替えをして、外壁の防水機能を維持するメンテナンスをおこないます。

外壁タイルに透明外壁防水剤などを塗布

外壁タイル以外の外壁には防水塗装をおこないますが、外壁タイルの場合は撥水剤や防水剤を塗布して防水効果を高めます。またウレタン含有で伸縮性のある透明外壁防水剤を塗布することによって、外壁タイルの剥落を防ぎ、防水機能も高めることができます。

●タイルを部分的に修繕する

外壁タイルの一部に浮きや亀裂などが見つかった場合、問題個所だけを部分的に修繕することで対応できる場合もあります。早期に工事をおこなえば、大規模な修繕を先延ばしにすることができます。

タイルを再接着する

タイルの再接着: 浮いているタイルは、剥落する前に再接着することが可能です。専用の接着剤を使用してタイルを再度固定し、剥落を防止します。浮きの程度が軽微であれば、再接着だけで対応できる場合があります。

部分的にタイルを張り替える

外壁タイルの全面張り替えは非常にお金がかかる大規模な修繕工事になってしまいます。そこで、亀裂が入っているタイルや剥落の兆候が認められるタイルだけを部分的に張り替えれば、コストもおさえられて外壁の剥落も防止できます。

アンカーピンで外壁タイルの剥落を防止

外壁タイル内側の下地材と建物の躯体の間に浮きなどが確認された場合、タイルの張り替えではなく、外壁タイル表面にドリルで穴をあけて樹脂などを流し込んですき間をなくし、開けた穴に透明のピンを差し込んで外壁タイルの剥落を防止します。この修繕方法は「アンカーピンニング工法」と呼ばれる補修工事の方法です。

大規模修繕では外壁タイルの張り替えも

ここまで外壁タイルの剥落を予防する対策や修繕方法などについて説明してきましたが、外壁タイルはマンション全体の美観を左右する大事な要素でもあります。

一部だけ質感の異なるタイルが貼られていたり、補修の跡が目立ったりすると、建物としての価値が下がってしまう可能性があります。

そのような場合は大規模修繕のタイミングで、外壁タイルの張り替えや耐久性にすぐれた素材への切り替え、パネル式外壁材の採用など、工事にかかる費用と耐用年数などを比較して、コストパフォーマンスのよい外壁を採用する、というのもひとつの選択肢です。

専門家に依頼して相見積もりを出してもらうなどして、中長期で見た外壁補修工事をおこなうようにしましょう。

外壁タイルが剥がれて落ちると、住民や通行人が怪我をしかねません。建物を守るための外壁がそこに暮らす人の安全を脅かすことになっては大変です。マンションの住民や通行人の安全を確保するためにも、外壁タイルが剥落を防止する対策を講じていってください。

外壁タイルの剥落を防止するには、定期的点検と適切なメンテナンスを継続しておこなっていくことが大切です。


今回は、マンション外壁タイルのメンテナンスや剥落防止の修繕方法について解説してきました。

これからもみなさまのお役に立てるよう、大規模修繕やマンション管理に関連する専門知識などを解説しながら、マンションの長寿命化につながる大規模修繕や改修、模様替えなどの重要性などをわかりやすいコラムでお届けしてまいります。

お問い合わせ

お仕事のご依頼、お見積りなど
随時受け付けております。
お気軽にお問い合わせください。