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2025.3.31

マンションの雨漏りはなぜ起こる?主な原因と適切な対策を解説

マンションで雨漏りが発生する主な原因と対策

マンションで発生する雨漏りには住民の過失が原因の場合もありますが、その多くは屋上の防水劣化や外壁のひび割れ、給排水設備などの故障や劣化が原因によって引き起こされます。

マンションの雨漏りを放置したままにするとますます建物の劣化が進み、大規模修繕の費用が想定以上に高くなる可能性があります。

そこで本記事ではマンションの雨漏りの主な原因と、それぞれどのような対策をとるべきかを解説していきます。修繕委員会の方や管理会社の担当者が知っておくべきポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

●1. 屋上や屋根のコンクリート・防水層の劣化

マンションの屋上や屋根は、常に雨風や紫外線などの自然環境の影響を直接的に受けるため、コンクリートの損傷や防水層の劣化が進みやすい場所です。

大規模修繕などでは必ず屋上や屋根の防水工事が行われますが、定期点検で防水シートのひび割れや剥がれが見つかった場合は、前倒しで修繕しないと漏水のリスクが生じます。

注意すべきポイント

  • 屋上の防水には大きく分けてウレタン防水・シート防水・FRP防水・アスファルト防水などの種類があり、それぞれ耐用年数が異なる。したがって耐用年数に合わせて修繕工事を行う必要がある
  • 強風や台風、強い紫外線などの影響を受けて、防水層が浮いてしまったり、亀裂や穴あきなどの破損が生じたりする。目視による定期点検が重要となる。防水素材は紫外線で硬化するなどして劣化しやすいので注意が必要
  • 屋上の排水口ドレンなどに泥や葉っぱなどのゴミが詰まると排水ができなくなり、ゲリラ豪雨などで雨漏りに直結することもある

対策

  • ウレタン防水・シート防水・FRP防水・アスファルト防水などの耐用年数に合わせ、定期的に修繕工事を実施する。大規模修繕工事のタイミングに合わない場合は、先んじて防水工事を行う
  • 自然環境の変化が激しいことを鑑みて、屋上や屋根のコンクリートや防水層の定期点検を年に1回実施。劣化を見つけたら必要に応じてメンテナンスを行う
  • 排水口の掃除を定期的に行い、水が溜まりにくい環境を維持する

●2. 外壁のひび割れ・シーリングの劣化

マンション外壁のコンクリートやタイルにひび割れが生じると、そこから雨水が侵入し、建物内部に水が浸透して雨漏りが発生してしまうことがあります。特に窓やサッシのある場所は構造的に強度が不足するため、ひび割れが起こりやすい場所です。

また、窓やサッシ周りのシーリング(コーキング)材の劣化を放置したままにしておくと、そこから浸水して雨漏りの原因となってしまうため、注意が必要です。

注意すべきポイント

  • タイル張りのマンションの場合、外壁タイルの浮きや剥落、欠け、目地の不具合によるタイルが割れるといった状況が原因で雨水が入り込むことがある
  • シーリング材の耐用年数は10年ほどなので、定期的な点検が不可欠

対策

  • 外壁の定期点検は6カ月~3年に一度は手の届く範囲で調査、10年に一度は外壁全体の調査を行う(建築基準法により義務化されている)
  • 外壁のひび割れ補修やシーリングの打ち替えなどのメンテナンスを行い、外壁の劣化による雨水の侵入を防ぐ
  • 外壁タイルの剥落や欠けが見つかったら、すぐに部分補修を行って雨漏りを防止する

なお、マンションの外壁タイル剥落を防止方法については、下記コラムでも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「マンションの外壁タイル剥落を防止するメンテナンスと修繕方法とは?」(https://www.t-works1.com/column/tile-maintenance/

●3. バルコニー・ベランダの排水不良

マンションのバルコニーやベランダの排水口が詰まったり劣化したりすると、排水がうまくいかずに水が溜まりやすくなり、壁や床に浸透して下の階に雨漏りが発生することがあります。

注意すべきポイント

  • 笠木部分の隙間(取り合い)から雨水などが侵入すると、壁内の木材や鉄骨を腐食させることがある
  • バルコニー・ベランダ床面のひび割れ・破れ・剥がれなど劣化状態のまま放置すると、床から雨水が染み込み下の階で雨漏りすることがある

対策

  • 排水口が詰まらないように定期的な清掃を住民に促し、雨漏り予防の重要性を周知して協力をお願いする
  • 排水口の劣化やバルコニー・ベランダ床面の防水層の劣化がないか定期的に点検し、必要に応じて床面の張り替えを実施する
  • 笠木や笠木と壁の取り合い、サッシ周りのシーリング補修を行い、水の浸入を防ぐ

●4. マンションの配管の劣化・破損

マンション建物の内部には給排水のために多くの配管が通っています。この配管が経年劣化によって破損したり詰まったりすると、水漏れが発生することがあります。雨水の排水とは原因が異なりますが、水漏れの重大なリスクであることに変わりはありません。

特に、天井裏や壁内を通る配管からの漏水は、雨漏りと区別が難しく対策すべき内容がまったく異なるため、早めに原因を究明して対策を講じることが重要です。

注意すべきポイント

  • 上階の配管の不具合などマンションのどこかで給排水管に問題が生じると、下の階の天井や壁に水が染み出すことがある
  • サビや腐食により、配管に穴(ピンホール)が開いて水漏れを起こすケースがある

対策

  • 数年に一度の排水管掃除をすべての部屋で実施し、排水管の詰まりなどのトラブルを回避する
  • 2~3年に一度は給水管や給水設備の点検を行い、給水ポンプは15~16年で交換、給水管は30年を目安に交換する。新築時や交換した際は、15年程度で更生工事(配管の内部を補修)を行う
  • 水漏れの原因が雨漏りなのか、給排水管のトラブルによるものなのか、なるべく早く調査して原因を特定する。水回りの異変があった場合はすぐに報告するよう住民に周知する

●5. 建物の設計・施工不良

新築時の施工ミスや設計上の問題が原因となり、雨漏りや水漏れが発生してしまうケースもあります。

注意すべきポイント

  • 勾配異常(屋上や屋根の傾斜が適切な構造になっていないこと)により雨水がうまく流れず、水が屋上などに溜まってしまうケースがある
  • デザイン性を優先した結果、雨漏りを起こしやすい構造の建物になってしまっている可能性がある

対策

  • 雨漏りが発生した場合はそのまま改善されることはないため、繰り返し雨漏りを起こさないよう、すみやかに専門業者による詳細な調査を実施する
  • シーリング施工などの防水工事に施工不良が認められた場合は、管理組合側で締結している瑕疵保険(かしほけん)などの保証内容を確認して、工事会社に不具合の修復を依頼する
  • 建物の設計自体が雨漏りを引き起こしやすい構造の場合、どのような対策を行えば雨漏りを防止することができるか、設計士などの専門家に相談して対策を検討・実行

マンションの修繕工事を検討している方は
ぜひ専門家にご相談を

マンションで雨漏りが発生した場合の対応手順

マンションで雨漏りが発生した場合は、速やかに適切な対応を取らなければなりません。一度雨漏りが発生したら、繰り返し起こるからです。

そのまま放置しておくと、建材の痛みや腐食を引き起こし、湿気でカビが発生する可能性もあります。また、雨漏りが原因で漏電など電気系統に深刻な被害を及ぼしかねません。

参考までにマンション居住者および管理組合(管理会社)が、雨漏りが発生した際にどのような手順で対応すべきか、時系列順に整理しておきました。

●1. 現場の確認と記録

  • 雨漏りしている場所や状況を写真・動画などで記録する
  • いつ、どの程度の水漏れがあったか、できるだけ詳細をメモに残す
  • 雨漏りしている水の色や臭いも記録し、雨漏りと配管トラブルとの区別に見当をつける

●2. 応急処置

  • 雨漏りの水受け用バケツやタオル、シートなどを設置
  • 窓枠やサッシ周りの隙間には防水テープなどで応急処置をする
  • 雨漏りしている箇所に漏電の危険がある場合、ブレーカーを落としておく
  • 壁や天井が膨らんでいる場合は触らず、速やかに管理会社や修繕委員会に報告する

●3. 管理会社や修繕委員会が引き継ぐ

  • 居住者へのヒアリングを実施して、雨漏りや水漏れの状況の詳細を把握する
  • 階下などほかの住戸への影響が出ていないか確認する
  • 居住者向けに雨漏りや水漏れの注意喚起を行い、追加の被害が出ないよう対応する

●4. 専門業者による調査と修理

  • 雨漏りを調査する専門業者に現場を確認してもらい、原因の究明と対応策の検討を依頼する
  • 雨漏りを止めるために必要な修理・防水工事を実施する
  • 雨漏りの原因に基づき、ほかの住戸も含め再発を防ぐ工事を検討する

●5. 雨漏り再発防止の具体策を検討

  • 雨漏りなど水関係のトラブルに関する定期的な点検スケジュールの策定
  • 従来の修繕積立金の不足がないか、臨時徴収の必要がないかなどの見直し
  • 管理組合側が居住者に向けて雨漏りを含むトラブル関する情報を共有。日ごろの対応で雨漏りや故障が防げるということを周知する

まとめ|マンションの雨漏りを未然に防ぐために

マンションの雨漏りは、建物の構造上の欠陥や施工不良などが原因の場合もありますが、日ごろから雨漏りを起こさないように注意して生活することによって防止できるものもあります。

雨漏りや水漏れは一度発生してしまうと自然に解消されることはなく、建物自体に大きなダメージを与えてしまうことになります。

近年多発する異常気象などの影響を強く受けて、想像以上に早いタイミングで防水機能が失われたり、建物の劣化が進んだりすることを想定して、定期的な点検とメンテナンスを実施していくようにしましょう。

マンションの修繕を検討されている方は、ぜひ弊社にご相談ください。

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