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2024.11.28

マンション外壁塗装で失敗しない塗料の選び方とポイント

外壁補修の様子

マンション大規模修繕の外壁塗装に課せられた2つの大きな役割

マンションの大規模修繕工事のなかでも重要度が高いのが、外壁塗装や外壁補修です。マンションの外壁塗装にはどのような役割があるのか、ここで改めて整理しておきましょう。

「マンションの外壁塗装はなぜ重要なのか」のコラムでも外壁塗装に関して記載させていただいておりますが、マンションの外壁塗装は「建物の保護」「資産価値の向上」という2つの大きな役割を担っています。

●建物の保護

外気に接する壁のことを外周壁といいますが、この外周壁への塗膜によって紫外線や雨水などから建物を守るという重要な役割を担っています。

塗料のタイプによって耐用年数は異なりますが、長い時間風雨にさらされ、太陽光でストレスが与えられ続けると、もともと塗料が持っていた防水性や防塵性などの機能が損なわれ、外壁の劣化が進んでしまいます。

外壁の劣化によって雨水が建造物内に浸入して内部鉄骨の腐食や錆びが進行してしまうと、建物の耐久性自体に問題が生じます。

●資産価値の向上

マンションは住民が生活する場であると同時に、資産でもあります。マンションの大規模修繕は安心して暮らせる環境を維持すると同時に、資産としての価値が落ちないようにおこなう工事でもあります。

区分所有するマンションであれば不動産としての価値を下げないために、定期的な外壁塗装で美観を維持するようにしなければなりません。外観が劣化してみすぼらしい中古マンションを購入してくれる人はいないからです。

また賃貸マンションであれば、外壁塗装で新築時のような美しい外観を維持することで、入居者希望者が獲得しやすくなる可能性があります。毎日目にするマンションの外観ひとつで、住民の満足度は大きく変わるもの。外壁塗装でマンションの資産価値を向上させることも可能なのです。

また、下記コラムで外壁塗装の重要性や工事の工程などについても解説していますので、ぜひ一度お読みください。

【大規模修繕】マンションの外壁塗装はなぜ重要なのか
https://www.t-works1.com/column/column02/

マンションの外壁塗装に適した塗料の種類と特徴

マンションの外壁がどのような材質かによって塗料にも向き不向きがありますが、マンションの外壁塗装にはどのような種類があるか、理解しておくことが大事です。施工会社に任せっ放しにするのではなく、塗料の選定などについて質問してみてください。

なお、各塗料の耐用年数に関しては「期待できる耐用年数の目安」であり、日当たりや海沿いのエリアといった立地条件によって、実際には目安より短い場合や長い場合があります。

●アクリル塗料

【耐用年数:3~6年】
アクリル塗料はアクリル系合成樹脂が主成分となる塗料で、光沢があり耐候性や耐水性、速乾性などが特徴の塗料です。30年くらい前まではコストパフォーマンスがいいことから、外壁塗装の多くがこのアクリル塗料でした。

湿気が溜まりにくく変色も少ないことから使用されることが多かったのですが、現在では耐用年数が短いことやほかに耐用年数が長い塗料や高機能な塗料が多く開発されてきたこともあり、マンションの外壁塗装に使用されることはほとんどありません。

●ウレタン塗料

【耐用年数:5〜7年】
ウレタン塗料は、ウレタン樹脂(ポリウレタン)を主剤として、硬化剤と混ぜ合わせてつくる塗料です。ウレタン塗料は光沢のある塗膜になり、鮮やかなカラーが出せるという特徴があります。また密着性や柔軟性があるため、一定の耐久性も期待できます。

ほかの塗料と比べてコストが安いというメリットがありますが、後発の機能性が高い塗料よりも耐久性が劣るため、短いスパンで外壁塗装をしなければならないというデメリットがあります。したがって現在では、マンションの外壁に使用することは少なくなっています。

1回の外壁塗装費用が安くても、塗装の回数が増えることでかえって費用が高くなってしまう可能性があるからです。

●シリコン塗料

【耐用年数:10~15年】
シリコン塗料は、シリコン系・アクリルシリコン系の合成樹脂を主成分とする塗料です。一定以上の耐久性やコストパフォーマンスの良さなど優れている点が多いため、建築における塗料の市場ではいちばん多く使われている塗料です。

機能性や耐久性がありつつ1㎡あたりの単価も抑えられるため、さまざまなシーンで活用されている塗料です。シリコン塗料商品を扱うメーカーも多く、カラーバリエーションなどの選択肢が多いのも特徴のひとつです。

透湿性があるためカビなどが生じにくく、外壁に汚れがつきにくいというメリットもあります。外壁だけでなく屋根にも多く使われている塗料です。

●フッ素塗料

【耐用年数:15~20年】
フッ素塗料は合成樹脂に蛍石(ほたるいし)を原料とする「フッ素」を配合した塗料です。耐用年数が長く、優れた耐久性を持っていることから、大規模な建物に採用されることの多い塗料です。耐候性が高く太陽光による劣化も抑えられ、汚れにも強いのが特徴です。

しかしフッ素塗料はほかの外壁塗料と比較すると単価が高いため、大規模修繕の外壁塗装工事の費用も高くなってしまうという点がデメリットであると言えます。

●無機塗料

【耐用年数:20~25年】
無機塗料はセラミックやケイ素といった無機物を主成分とした塗料です。炭素を含まない鉱物などの自然の物質を主成分とした樹脂を使用していて、高い対候性と低汚染性という大きな特徴を持っています。

もともと外壁などに使用される塗料ほとんどは、炭素を含む有機物(石油などの有機物)を主成分にした塗料で、太陽光による塗膜の劣化が避けられないという問題がありました。この問題を解決するために開発されたのが、無機塗料なのです。

塗料のなかでもっとも耐久性に優れ耐用年数も長いとされていますが、塗膜に関してはかたい傾向があるため、ひび割れを起こしやすいという弱点があります。1㎡あたりの単価が高い塗料なので、耐用年数の長さだけでなくコスト面など総合的に検討して決定するようにしましょう。

●ハイブリッド塗料

【耐用年数:15~30年】
ハイブリッド塗料は有機塗料と無機塗料を混ぜ合わせてつくられる塗料で、両方の特性をあわせ持っている高い機能性を有する外壁塗料として、近年注目されている新しいタイプの塗料です。無機系ハイブリッド塗料やラジカル制御型ハイブリッド塗料といった複数のタイプがあります。

配合する有機塗料と無機塗料の成分は塗料メーカー各社によって異なりますが、耐久性や耐候性、防水性や密着性に優れていることや、これまでの塗料で課題とされていた欠点を補うことができるという特徴は共通しています。

高機能であるがゆえに塗料自体の価格が高いこと、施工経験のある業者が比較的少ないことなどがデメリットとして挙げられます。


上記で紹介した塗料のほかにも、省エネにつながる最新の機能を備えた塗料もあります。代表的な塗料のタイプを紹介します。

●遮熱(しゃねつ)塗料

遮熱塗料は太陽光の熱を跳ね返す、赤外線を反射する機能に特化した機能性塗料です。外壁が太陽光をさえぎることでマンション内の気温上昇を抑え、エアコンなどの光熱費が削減されます。

日当たりなど立地条件にもよりますが、遮熱塗料を外壁や屋根に使用すると室温が2~3℃下がり、省エネルギー効果が期待できます。

遮熱塗料は外壁や屋根を太陽光による劣化を防ぐ効果もあるため、耐用年数は長いという特徴もあります。

ただし、1㎡当たりのコストがほかの塗料に比べて高いことと、保温効果がないという点がデメリットです。

●断熱塗料

遮熱塗料とよく似た機能性がある断熱塗料ですが、太陽の赤外線による室内の温度上昇を抑えるだけでなく、冬は室内の温度を保つ保温機能もある点が特徴です。断熱塗料は熱伝導率が低いため、暑い夏も寒い冬も快適に過ごせるメリットがあります。

ヒートアイランド現象や気温の変動の影響があるため、大規模修繕で断熱塗料を採用するのも一案です。さらに断熱塗料によって結露の発生が抑制できたり、防音効果が期待できたりします。

断熱塗料の商品によって違いはありますが、耐用年数は15~20年と長い点がメリットですが、1㎡あたりの費用が割高な傾向にあるというデメリットがあります。

●光触媒塗料

近年、光触媒技術を応用して開発されたのが、光触媒塗料です。わかりやすく説明すると、太陽光にあたることで、外壁に付着した排気ガスなどの汚れを分解して無害化する機能を持った塗料です。

セルフクリーニング機能を備えた外壁に生まれ変わらせる塗料として最近注目度が高い塗料で、外壁が清潔なまま維持されることによって耐用年数も15~20年と長いことが特徴です。

ただし機能性の高い塗料であることから塗料単価は高く、施工実績が豊富な業者が少ないため、技術の違いで仕上がりが左右されてしまうというデメリットもあります。

デザイン性の高い多彩模様塗料でマンションの資産価値を上げる

ここまでおもに外壁塗料の機能性にスポットを当てて解説してきましたが、ほかのマンションとの差別化にもつながるデザイン性の高い外壁を実現する塗料についても、最後に紹介しておきたいと思います。

ここで紹介する「多彩模様塗料」は、マンションの外壁塗装にも適している塗料です。以下に、多彩模様塗料の特徴やメリット、デメリットについても説明していきます。

●多彩模様塗料の特徴とメリット

多彩模様塗料は、塗料自体にいろいろな色のカラーフレークやゲル状の素材が混ぜ込まれた塗料で、塗装するだけで天然の石材のような質感が出せたり、立体的な模様が表現できたりと、オリジナリティの高い外壁塗装をすることができます。

高い意匠性と高級感がある

多彩模様塗料は、塗料を塗るだけでタイルや天然の石材のような質感や複雑なカラーを表現することができます。高級志向のマンションやデザイン性の高さを重視するマンションに向いている外壁塗料のひとつです。

マンションの外壁というと、同じようなカラーリングでオーソドックスなものが多い印象ですが、多彩模様塗料であればデザインの自由度も高く、周囲のマンションと一線を画して差別化を図ることができます。

耐久性も高く汚れにくい

多彩模様塗料は塗膜が厚いという特徴があり、建物を太陽光や雨風といったストレスから建物を守る対候性にも優れています。外壁が劣化している症状のひとつであるチョーキング(手に白い粉がつく状態)が起こりにくいという点でも評価されています。

さらに塗装面がなめらかな仕上げになるため、外壁に汚れが付きにくいタイプの塗料が多いというのもメリットです。マンションの場合は外壁の面積が広いため、防汚性に優れている塗料を使えば、クリーニングの手間や回数を減らすことにもつながります。

●多彩模様塗料のデメリット

多彩模様塗料にはメリットだけでなく、デメリットもあります。外壁塗装で失敗しないためにも、多彩模様塗料のデメリットについても把握しておくことをおすすめします。

コストが割高になる

メーカーごとに商品価格に差はありますが、多彩模様塗料の相場はほかの塗料に比べて高めです。

また施工の工程がほかの塗料を使う場合よりも多いので、外壁塗装にかかる費用自体も高くなる傾向があります。

メンテナンスの頻度が下がって長期的にはコストパフォーマンスは悪くありませんが、初期費用が割高になることは念頭に置いてください。

職人の技量で仕上がりが変わってしまう

多彩模様塗料は一般的な塗料とは工程が異なるため、実績が豊富な施工会社に依頼しなければなりません。多彩模様塗料特有の専門的な技術が求められるため、施工会社によっては扱いがない、という場合もあります。

さらに仕上がりの良し悪しは職人の腕次第というところもあり、職人の技量によって外壁塗装の仕上がりが変わってしまう点もデメリットと言えます。

外壁塗装で失敗しないための3つのポイント

大規模修繕の外壁塗装に関して、業者に丸投げするのはおすすめしません。なぜなら外壁塗装は高額な費用を投じる大規模な工事だからです。

そこで外壁塗装で失敗しないために留意すべきポイントについて見ていきましょう。

●マンション外壁デザインの考慮

居住者の属性や好みにマッチしたデザインを選ぶ

マンションの美観維持のために外壁のデザインや色選びに工夫を凝らしたいところですが、居住者の属性やライフスタイル、好みを考慮せず、オーナー目線だけ色やデザインを選ぶのはよろしくありません。

なぜならマンションの外観デザインは居住者の満足度に直結しやすいからです。できるだけ長く住んでもらうためにも、住民の意見を反映し、愛着の持てるデザインを検討することが大切です。

もちろん、既存の外壁タイルに関する満足度が高いのであれば、無理にデザインを変えることなく、外壁の機能性だけを向上させる外壁塗装や補修をおこなうと失敗しにくいはずです。

大規模修繕でマンションの外壁をリフォームする場合は、事前に住民説明会を開催したうえでデザインや色の候補を複数提示し、住民の意見を集約して決定することが失敗しない大事なポイントです。

マンション周囲の景観との調和を考慮する

大規模修繕で外壁塗装や外壁補修によるマンションのリフォームをする際には、周囲の景観と調和しているかどうかを考えることが重要です。

住宅密集地にあるのか、商業施設の近くにあるのか、自然豊かな環境の中に建っているのか。立地条件によって、街並みとの一体感をどうとらえるべきかが異なります。

たとえばマンション近隣の住宅やほかのマンションとの差別化を図りたいと考えたとしても、あまり突拍子もない奇抜な外壁デザインや色にするのは、あまりおすすめできません。

長い年月が経過しても違和感のないデザインの選択

マンションの外壁塗装の色やデザインは、流行やトレンドに左右されないものを選ぶべきです。奇をてらった選択をするより、オーソドックスかつシンプルで、モダンな印象の外壁塗装が好まれる傾向にあります。

大規模修繕で大掛かりな外壁塗装や補修をおこなったあと、短くても10年以上その外観のまま過ごすことになるからです。

長期間にわたって飽きがこないデザインとスタンダードな色を選び、アクセントやテクスチャーなどでワンポイントつくるなどして、建物の個性を演出することもできます。

●マンション居住者および周辺住民の合意形成を図る

外壁塗装工事ではとくに、バルコニーの荷物の移動や臭いの問題などがあるため、工事内容などに関するマンション居住者の合意形成と、近隣住民への周知が必要不可欠です。居住者説明会および近隣住民への説明会を開催し、クレームが発生しないように準備を進めなければなりません。

どのようなデザインの外壁塗装をおこなうか、足場を組んで作業をする期間はどれくらいか、外壁塗装による臭いの発生や近隣地域への影響がどの程度あるのかなど、施工のプランや居住者および近隣住民の安全確保を前提に外壁塗装工事の詳細をあらかじめ説明する必要があります。

天候不順などで外壁塗装の工期が予定よりも長引く場合なども、その都度進捗情報をていねいに説明して、居住者および周辺住民の合意形成を図っていくことが重要です。そのためにはマンションの管理組合側だけでなく、外壁塗装を含む大規模修繕工事の施工会社にも「住民ファースト」な対応が求められます。

●外壁塗装工事が得意な施工業者を選ぶ

大規模修繕の場合、単独で外壁塗装だけを施工会社に依頼するというパターンは少なく、防水工事や共用部分の修繕なども含め大規模修繕専門会社や地元の建設会社などにまとめて依頼することが多いです。

ただし、大規模修繕専門会社であっても、その会社がもともと外壁塗装を得意としている会社ばかりではありません。防水工事を得意とする会社であったり、排水管など建物内部の工事を得意としている会社であったりする場合もあります。

大規模修繕工事や外壁塗装工事を依頼する会社を決定する前に、これまでその会社がどのような工事をおこなってきたか、施工実績をホームページなどで確認しておくことで失敗するリスクを下げることができます。外壁塗装工事の実績やデザインのバリエーション、外壁材の選択肢などを事前に確認しておくと安心です。

複数の施工会社にマンションの外壁塗装工事に関する提案や見積もりを取り、施工実績や口コミ・評判、施工技術や工事内容などを比較して絞り込んでいくとよいでしょう。

安心できる施工会社を選ぶポイントとしてもうひとつ確認してほしいのは、外壁塗装後の保証がしっかり設定されているかどうか。保証には塗料メーカーが工事で使用した塗料に関して保証する「製品保証」と、保証期間に塗装工事の施工不良が認められた場合に施工会社が修繕や塗り直しなどに対応する「工事保証」があります。

施工会社を決める前に、この保証内容についてもしっかり確認するようにしましょう。


今回は、マンションの外壁塗装で失敗しない塗料の選び方とポイントについて解説してきました。

マンションの立地条件や周囲の建造物、環境などによって個別に判断する必要がありますが、外壁塗料にはそれぞれ異なる機能性やデザイン性、カラーリングがあると同時に、壁材との相性の問題もあります。

専門家に「このような外壁に改修したい」「大規模修繕のタイミングで外壁をリフォームしたい」「このようなデザインの外壁にしたい」という要望を細かく伝え、いくつか塗料の候補やサンプルを用意してもらうと失敗しにくいと思います。

これからもみなさまのお役に立てるよう、大規模修繕やマンション管理に関連する専門知識などを解説しながら、マンションの長寿命化につながる大規模修繕や改修、模様替えなどの重要性などをわかりやすいコラムでお届けしてまいります。

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